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司法書士いまよし事務所
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不動産の相続登記については、いつまでにしなければならないという期限がありません。
そのためか、相続登記がされずに放置されているケースがあります。
あるいは、役所か何かが勝手に名義を変えてくれるものと思っている方もいらっしゃいます。
不動産の名義変更は、あくまでも自分で申請新なければなりません。
相続登記をしなくても、そのあとに売却を予定しているなどの事情がなければ、特に困ることはないでしょう。
固定資産税の請求も、しかるべき人のところにちゃんとやってきます。
しかしながら、相続登記というのは放置すればするほど、ややこしくなっていく運命にあります。
登記簿上の名義人は、死亡しても、勝手に変更されません。
人はいつか、必ず死にます。結婚して子を産んだり、結婚せずに一生を終えたり、様々です。
登記名義人が死亡し、相続が発生すると、その時点の相続人が存在します。
さらに、その相続人が死亡すれば、その相続人が新たに相続人になります。
長い間、相続登記を放置すると、最初の相続人の人数が、大人数に膨れ上がっていることがあります。
相続登記を放置している間に、不動産を売却する必要に迫られたらどうでしょう。
複数発生した相続によって、膨れ上がった相続人で遺産分割協議を行い、相続登記を行うのは、費用も労力も膨れ上がるものです。
ずっと昔に発生した相続登記が放置され、今になってようやく手をつけようとした事案。
登記名義人である被相続人の死亡は昭和34年。
死亡時点で子どもはなく、配偶者と直系尊属である母親が相続人。
それ以降、配偶者の死亡、母親の死亡により連続して相続が発生するも、放置。
今から2年ほど前に一度、自力で相続登記をしようとしたが挫折、それから放置。
重い腰を上げての、相続登記の依頼。
相続人調査の結果、
代襲相続や数次相続が重なりに重なって、現時点での相続人はなんと18人。
あったこともない人が大勢。
まだこれだけなら、なんとか連絡をとって遺産分割協議が整えば、特定の相続人の単有にできそうなもの。
18人のうち、親子で相続人となっている方がいて、その子が未成年なので、特別代理人の選任申立が必要。これはクリアできそう。
ところが、18人に膨れ上がった相続人の1人がなくなっていて、その相続人が不存在というのが判明。
これは、遺産分割のためには相続財産管理人の選任申立てが必要。
管轄の裁判所に予納金を確認すると、事案を問わず一律で100万円の予納が必要で、管理人の候補者の指定は一切受け付けず、裁判所が弁護士を選任するとのこと。
依頼者にそのことを話すと、相続登記の不動産の価格が知れているのに、裁判所に100万円もの予納金を納めるのは無理、と。
結局、相続登記は断念せざるを得ず、迷宮入り。さらに深い眠りにつくことに。
相続登記放置の痛いケースの典型です。
たまに表題のような事件に出くわします。
相当田舎のほうの物件で、相続登記の依頼を受け、物件を調べてみるとさまざまな登記がなされないまま放置されていることがあります。
1.父親が亡くなったので、不動産の相続登記をしようとしたら、3代も4代も昔の名義のままだった。
2.おまけに、3代も4代も昔、大正時代ぐらいに設定された抵当権が残ったままだった。
3.未登記の建物がたくさんあった。
4.家を建て替えたのに、古い家の登記が滅失されず残っており、新しく建てた家の表題登記もされていない。
5.近所の住人と土地をかえっこしたのに、その交換の登記がされていない。
6.さらに交換した土地のうえには、交換した住人が家を建てているが、その建物の登記もないので、固定資産税は相手ではなく、自分に課税されている。
はっきりいって、むちゃくちゃです。
1の相続登記は、代襲相続や数次相続がからみ、相続人が大人数になりましたが、無事遺産分割協議に協力してもらえましたので、一括で相続登記が済みました。
2、の休眠担保権(古い抵当権)も、供託による方法で、抵当権はすべて抹消できました。
3から6はこれからの検討課題です。
この田舎、昔は建物を建てても、土地を交換しても登記をするという認識がなかったのでしょうかね・・。
現金決済でやっていると、そういう感覚もなかったのかもしれません。
しかし、今後不動産を売却したりなど、処分の必要が出てきた場合は、こういう登記はきっちりとさせておかないと困ることになります。
相続登記と、抵当権の抹消だけでもずいぶん時間がかかってしまいましたが、これから多数の建物の表題登記をやり直して、所有権保存登記をして、土地の交換の登記もやって、となるとまだまだ時間がかかりそうです。
相続登記は、相続税のように期限があるわけではありません。抵当権の抹消もしかり。
登記をしなくても、国から文句を言われることはありません。
でも、登記を放置するとあとあと、とても大変な作業になることが多いのです。
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司法書士 今吉 淳
大阪司法書士会所属
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